砂漠の天使
ルーシーはアラブの国ラマルハムラの砂漠を車で走っていた。
夫が財産目当てに結婚したと知り、怒りにまかせて追ってきたものの、彼がいるはずのキャンプにたどり着けない。
道に迷ったのだ。
途方に暮れ、疲れきった彼女は運転を誤り、車は激しく横転した。
炎上する直前、現場に駆けつけたハニフ・アルハティブが間一髪でルーシーを車から助け出した。
ぐったりした彼女を片腕に抱いてハニフは馬を走らせる。
ルーシーは混濁する意識の底で力強い胸の鼓動を聞き、優しく慰める声を聞いた。
砂漠の天使が舞い降りてきて、私を助けてくれたのかしら……。
先王の次男セバスチャンが新しい国王に即位することが決まり、メリディア王国では近々戴冠式が行われる。
ロンドンの〈ベラ・ルチア〉でシェフをしていたエマは、栄えある戴冠式後の食事会の料理長に選ばれた。
出発前、セバスチャンは典型的なプレイボーイだと警告されたけれど王子と顔を合わせることなどないと意に介さなかった。
ところが到着早々、恐ろしくハンサムな男性に遭遇する。
城で働いている人としか見えなかったが、数時間後、正装した彼の姿を目にしたとたん王子と悟った。
慣れない環境と王子への思いを抱えて、困難な城での日々が始まった。
ハンナが研修先に選んだのはロンドンの一流病院だった。
驚いたことに、彼女の指導を受け持つという医師は、かつて憧れを抱いていた幼なじみのアダムだった。
久しぶりに再会したアダムは、自信にあふれ、有能そのものだ。
都会になじめず、不安でいっぱいのハンナとは正反対。
裕福な家庭に生まれた彼は、貧しい里親に育てられた私とは違う。
みじめさに打ちのめされる彼女に、アダムが追い討ちをかけた。
「ロンドンに出てきたとは驚きだ。
君には田舎がお似合いだよ」そのさげすむような口調に、幼い恋心を打ち砕いた彼の冷酷な仕打ちがよみがえった。
まだ二十歳のケイシーは年齢をごまかして働いている。
ある日、同僚たちがオフィスの外に魅力的な男性を発見し、くじ引きで誰が彼をデートに誘うか決めることになった。
当たりを引いたのは、恋愛経験のほとんどないケイシーだった。
不安を覚えつつも思いきって男性のもとへ向かうが、その正体を知って、ケイシーはうろたえた――彼は、八歳のときの初恋の人、サムだったのだ!十歳も年下の自分など相手にされるわけがないとあきらめかけるが、サムはこちらが何者かに気づかないので、彼女は決意した。
今宵一夜限りでもいい、大人のふりをして彼とすごそう、と。
六年前、ジュディスはダンと泣く泣く別れた。
彼女の継母の悪意に満ちた中傷のせいでダンの名誉に傷がつくのが耐えられなかったからだ。
そして今、ジュディスは結婚することに決めた。
彼女ももう二十五歳。
意地の悪い継母と暮らす家を出るには、結婚するよりほかにない。
しかし、相手にはぺてん師だという評判があった。
彼女がおじから相続した莫大な遺産が目当てだと言う人もいる。
そんな折、ダンが突然目の前に現れ、ジュディスは彼のことを思いきれていないのに気づいた。
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